「アリスの時間」

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短期留学のためヨーロッパの小国を訪れた日本の学生。だが森の中で道に迷い、森から出られなくなってしまう。激しい雷雨の中、古い館に辿り着くが、そこには謎の老紳士と少女がいた…。

「時の声」を考えていた時に派生したアイデアから生まれた作品。なので、元を辿ればこれも「竜宮」からの派生作品ということになりますね。「時の声」とも「竜宮」とも全然違う内容になってますが。当初は宇宙ネタとこれとどちらを描こうか…と考えたりもしてましたが、どうせなら両方描いてしまおう!ということで、作品としてお目見えすることになりました。

これも時間をテーマにした作品なので、「時の声」同様、説明=ネタバレになってしまうのですが、オリジナルのそれっぽい理論!?を出すことで、怪奇ものっぽい雰囲気を出しつつ、「もしこんなことが出来たら…」というSFならではの夢を楽しむお話にも出来たかなと思います。

なお、作中登場のカルスタイン男爵のイメージモデルはもちろんドラキュラ伯爵。カルスタインという家名も「吸血鬼カーミラ」に出てくる家名を参考にさせていただきました。どの国かに関しては、いろいろ考えて結局架空の小国ということにし、国名も敢えてつけず。実在の国を出すと色々突っ込まれそうだし、架空の名前をつけても、それはそれで別の存在感が出てきそうでそれも困るなと思ったので。読まれた方が自由にイメージして下さればと思います。ちなみにドラキュラはトランシルヴァニア、カーミラはオーストリアが舞台です。貴族に関してはイギリスを参考にしています。

考えてみれば、ヨーロッパ、それも作中の年代を舞台に描いたのは初めてですね。私にとってはなかなか新鮮な体験でした。こういうのも悪くないな。未来が舞台なら全部空想でいけるけど、今回はそういうわけにはいかず下調べも必要でしたが、その分勉強にもなったし面白かったです。

今回一番描きたかったのは、もちろん時間ネタ(カルスタイン男爵の語る理論)の部分ですが(あの説明図のために3Dソフトが欲しいと思った…)、登場キャラたちがけっこう濃くて、彼らの物語としても楽しんで描くことが出来ました。読まれた方にも楽しんでいただければ幸いです。

2023年発行のペーパーバック「時の声」に収録。

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