「インペリアル・ドリーム」

インペリアル・ドリームサムネイル

全174頁

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発光植物の森が広がる惑星バース。植民計画が中止し200年後、再開発が行われることとなったが、そこで発見されたのは謎の遺跡だった。遺跡で道に迷った省吾と奈津子は「クフ」と名乗る男に遭遇するが…。惑星バースと遺跡の謎を巡るSFアドベンチャー。

「旧版インペリアル・ドリーム」のリメイク版です。2002年の年末企画で一部の頁を公開したところ、「読みたい」との声を複数いただき、リメイクして発表する運びとなりました。ただ、リメイクを開始するまでに「エクダシリーズ」「ロイド」他数作品の連載をやっていたため、リメイク版が完成したのは約束してから約13年後。すごく長くお待たせしてしまったのですが、それはこの作品のリメイクがそう簡単なものではなかったからなんですよね…。

旧インペリアル・ドリームはスランプの最中に描いたものなので、話作りはあきらめて出たとこ勝負で展開していくという「行き当たりばったり作品」でした。それでもSFとして描くつもりはあったのですが、「その場の思いつきでエスカレートしていく展開」にSF設定が追い付けず、結果、中身がなくて表面のアクションのみが残る作品になってしまいました。そのため、まずは「中身」を作らないことにはリメイクのしようが無かったのですが、それが大変だったわけです…。

旧版について。
一応SFとしての設定はありました。惑星バースで植民計画が行われたが、子どもが産まれなかったという状況は新版と同じです。ただ、旧版ではそれを説明できる設定・理由を十分煮詰められず、その辺が未定なまま描き出してしまい、加えてクフ王子の正体や彼が繰り出す謎の超能力?にもSFとしての説明を与えることが出来ませんでした。そのため、読者が一番知りたかったであろう部分がうやむやになったまま終わる形になりました。

リメイクへの課題。
旧版の設定をできるだけ引き継ぐ、というコンセプトのもと、まずは
1)テーマを再考し、伝えたい中身をしっかり作る。
2)惑星バースの状況にSFとして成立する理由・設定を与える。
3)クフ王子の正体と謎の力にも説明のつく設定を与える。
4)ストーリーの基本の流れは出来るだけ旧版に沿う(年末企画で出した頁の再現等)。
の4本の柱を立て、頭を絞ったわけです。ゼロから話を作るのと違って、制約がいろいろあったため、そこへ合わせていく作業も大変でした…。

キャラについて。
旧版ではキャラが3人しか登場しません。さすがにこれだけでは話を進め難いので、リメイク版では脇キャラを数人追加して話に幅と広がりをもたせるようにしています。おかげで他のキャラからの視点でも物語を見れたり、旧版にはないエピソードを追加出来たりして、キャラたちの演技の幅も世界観も広がったかなと思います。

SFへのリベンジ。
旧版はSFを描きたかったのに上手くいかなくて、結果としてオカルトもどきになってしまった作品です。オカルトも好きだし、オカルトならオカルトに徹するという道もありましたが、やっぱり「SFを描くつもりで失敗した」のが、ずっと心に引っかかっていたので、リメイクでは正面からSFへのリベンジを行うことにしました。
なお、旧版から年月が経った分、リメイクでは当時では発想できなかったアイデアを取り入れることが出来て、悩みの種だったクフ王子の正体を解決できたのには助かりました。旧版連載の終り頃にはこの系のネタもチラホラ出始めてはいたのですが、当時気が付いてたとしても作中に生かすには時遅しだったでしょうね。今はこれ系の作品はいっぱいあるので、リメイクでは自分なりの消化をして取り入れてみたつもりです。

基本は冒険アドベンチャーものなので、惑星バースで冒険した気分になっていただければそれでいいんですが、SFの部分も楽しんでもらえたら幸いです。

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