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宇宙旅行にワープ航法が導入されて間もない頃の話。宇宙貨物船プレア号がワープアウト時に遭遇した女性は謎の現象に包まれていた…。
純SFと言っていい作品だと思います。クルーどうしの葛藤も描かれてますが、話の柱はワープにまつわる現象なので。実はこの作品、ペーパーバック「マヤの惑星」に収録するために描いた作品。描きおろし(紙の本でしか読めない)にすることも考えましたが、ここはケチケチせずにWEBでも読めるようにサイト連載の形で公開しました。
SFも色々と描いてきましたが、宇宙を舞台にした作品もけっこう多い。若い頃は宇宙ものに憧れていたので、宇宙や他惑星を舞台にした作品が多かったんですね。長編のロイドやエクダ、インペリアルドリームも全て他惑星を舞台にした話です。自分ではこれを「惑星シリーズ」と呼んでました。惑星シリーズでは世界はつながっていて、時代や登場人物は違っていても、全て1つの世界で展開しているという設定でした。
ペーパーバックで紙本計画が始まったことで、惑星シリーズの短編作品も1冊の本にまとめることにしたのですが、作品を揃えてみて若干頁数が足りないことに気付きました。そこで穴埋めに1作描くことに。何を描こうか考えた時、「帰還」と他の作品の間に時代の大きな違い(ワープがある・なし)があることに気付き、そこを埋める作品にすることにしたのです。
要は紙本を読む人に、「帰還」後にワープも出来るようになりましたよ、と伝えられれば何でもよかったんですが、以前に「時空睡眠」と言うタイトルだけが浮かんでいて、これを使って何か出来ないかなと考えていたので、この機会にやってみることにしたのです。
惑星シリーズ短編が時系列順に並んだ単行本で読んだ時に意味を持つ作品なので、単体で見たらちょっと浮くかもしれませんが、純SFならではの楽しさを味わっていただけたら幸いです。
2024年発行のペーパーバック「マヤの惑星」に収録。